2015年10月10日土曜日

【ニュース】神戸モスク80周年記念と在日タタール人

2015年10月9日 Азатлык радиосы

日本でかつてタタール人によって建てられたモスクはもはやタタール人のものではなくなっている。当時、国籍付与への礼としてそれらはトルコに寄贈された。神戸にある日本初のモスクの80周年を記念して来週大きなイベントが予定されている。

神戸モスク
近年タタールスタンでは在日タタール人への関心が高まっている。おととしにはタタールスタンのロステム・ミンネハノフ大統領が訪日し、在日タタール人と対談した。そして間もなく日本で、タタール人によって建てられた神戸モスクの80周年を記念して、多くのイベントが催される予定だ。それらはタタールスタン政府が日本のタタール人ディアスポラと協力して行われる。我々は、タタールスタン側の主催者の一人である、マルジャーニー歴史研究所の民族教育史・理論センター長マラット・ギバッディノフ氏と、そのことについて話した。

記者:マラットさん、神戸モスクの80周年を記念してどんなイベントが行われますか?

マラットさん:イベントの目的は、神戸での日本初のモスク設立80周年を盛大に祝うことです。もちろん、このモスクの設立に大きく寄与したタタール 人移住者・ディアスポラへの敬意を示すことも目的です。これを行うため、現在日本に住むタタール人ディアスポラはタタールスタン大統領に支援を申し出ていました。大統領は賛同しました。

マラットさん
また、初めて東京でタタール文化をお披露目します。残念ながら伝統的なタタールのお祭りサバントゥイを行うことはできません。おそらく来年は行うことができるでしょう。今回は大きなコンサートが行われます。

私たちは日本でタタール人について研究している学者を集め(20人以上の学者がいる)、彼らが行っている研究を知り、将来的に共同のプロジェクトを行うという目標も念頭に置いています。

この一連のイベントはいくつかの部分から成ります。10月17日には東京モスク内にあるトルコ文化センターで主催者などのあいさつが行われる予定です。それがイベントの開会式となります。18日には東海大学でタタール・コンサート、タタール・アニメの上映、タタール料理の紹介などの文化イベントが予定されています。19日には東海大学で学術会議の第一セクションが行われます。テーマは「タタール世界と日本の文化・経済・技術関係」です。
                
かつての神戸モスク
21日には神戸モスクの記念イベントが行われます。我々の代表団はモスクへ行き、現地のムスリムと会い、タタール人墓地へ行きます。22日には島根県浜田市に行きます。我々の歴史研究所と島根大学の間で協定を結ぶ予定です。その協定に基づき、島根に保管されているタタール関係の資料の一部のコピーをタタールスタンに持ち帰ります。例えば、「ミッリー・バイラク」という、30年代に満州でガヤズ・イスハキーが設立した団体によって発行されていた新聞です。その全部は日本に保管されています。そのコピーをタタールスタンに持ち帰ります。

22日には島根県松江市でタタール人アーティストらのコンサートが行われます。23日にはそこで学術会議の続きが予定されています。

東京で行われる学術会議の主要な問題は、日本のタタール人を研究している学者を集めることと、彼らの発表です。松江では三つの主要なテーマがあります。日本に保管されているタタール関係の記録物のまとめと研究、そして「たたら」という製鉄技術を知ることです。日本では侍の刀をその「たたら」という技術で作っており、それは昔のタタール人から(4-7世紀)アルタイ山脈から挑戦を経由し日本に伝わったという説があります。

最後のテーマは、伝統的な社会での現代化プロセスの進行です。これはタタール社会と日本社会を例に示したいと思います。

記者:これらのイベントにはタタールスタンから誰が参加しますか?

マラットさん:タタールスタン代表団として内閣から文化・言語発展局のギョルシャット・ニグマットゥッリナ局長が、歴史研究所からラディック・サリホフ副所長や他の研究者が行きます。また、カザン連邦大学からも女性研究者が一人行きます。タタール人アーティストのグループにはマリコフ親子、エリザ・アバイェヴァ、ルイザ・フジナ、ソンベル・ビラロヴァ・リナット・ウェリイェフなどがいます。

記者:このイベントは在日タタール人ディアスポラと一緒に行われます。日本のディアスポラは大きいですか?

マラットさん:残念ながらまだあまり強いディアスポラではありません。彼らは一つの場所に集まっておらず、散らばって暮らしています。もう一つの問題は、かつてのディアスポラはなくなりつつあるということです。彼らの多くは高齢です。60-70年代に多くはアメリカやトルコへ移住し、日本には非常に少数の人々だけが残りました。

神戸モスク落成式(1935年)
若いディアスポラというと、多くは学生かビジネスマンです。彼らは日本に来てそこに住みついた人たちです。残念ながら彼らはお互いをよく知りません。タタールスタンのラリサ・ウスマノヴァさんが長年日本に住み、日本のタタール人ディアスポラを研究し修士論文を書きました。彼女の助けで我々は新しいつながりをもちました。現在日本のタタール人はお互いの連絡先を我々から聞いています。つまりこのイベントは日本に住むタタール人にもお互いを知るための促進剤になります。我々は将来日本のタタール社会が活発になると信じています。

記者:現在日本ではタタール語講座も開かれました。授業は東京に住む唐澤ギョルナラさんが行っているということを知っています。若い世代のタタール人というと、あなたは彼らのことを念頭に置いていますか?

マラットさん:はい、タタール語講座も開かれました。授業はラテン文字で行われ、少し独特な方向性を持っています。我々はエフメット・ディネ夫妻とより多く連絡を取っています。

記者:日本に新しく来た世代と以前からの世代の間ではつながりはありますか?

マラットさん:あります。我々は高齢の世代とも若い世代とも会って話したことがあります。彼らはお互いをよく理解しています。かつて移住してきたタタール人は、ソ連の後継としてロシアを疑って見ています。かつてこれは特に強かったですが、今ではそれほど感じられません。

神戸のタタール人学校(1930年)
ここでは何よりも重要な問題が一つあります。高齢の世代が亡くなっていっていることです。彼らのうちまだ生きている人たちも、若い世代を支援できるような状態ではありませんが、日本ではタタール人社会とトルコ人社会の間の関係が非常に密です。かつてのタタール人ディアスポラは自分たちが支援できずとも、トルコ人に支援を求めています。なぜならトルコ人が日本に来はじめた頃、タタール人が彼らを大いに助けたからです。そのためトルコ人はタタール人にとても感謝しています。今はトルコ人がタタール人に助けの手を差し伸べています。


記者:また、かつてタタール人が建てたモスクが今はトルコ人のものだということも知っています。

マラットさん:長い間、日本に住むタタール人は無国籍でした。彼らはロシア帝国から逃れましたが、当時の日本では彼らには国籍を取得する権利はありませんでした。そのため彼らは外国に行くことができませんでした。60-70年代にトルコが彼らにトルコ国籍を取得を許可すると、彼らはもちろんこの機会を利用し、トルコ国籍を取得し、日本のタタール人の多くはトルコやアメリカに移住しました。

神戸におけるタタール人の集会(1934年)
残ったタタール人社会はモスクや学校を維持できなかったため、モスクやその土地をトルコ人に寄贈せざるを得ませんでした。これは国籍付与へのお礼から行われました。もちろん人数が減ったことによる資金の問題もありました。

こんにち、東京のモスクはトルコ人社会、神戸のモスクは日本のムスリムが所有しています。残念ながら神戸の歴史的なモスクにはもう一人のタタール人も残っていません。そこにはパキスタン、マレーシアなどから来たムスリムが多く集まっています。

記者:モスクはタタール人が建てた時のままですか?

マラットさん:東京にあるモスクは自身とその他の理由のため老朽化し、取り壊されました。そして2000年にトルコ人が同じ場所に新しいモスクを建てました。神戸にあるモスクは昔のままです。

在日タタール人
東京モスクの記録物は日本に保管されています。 上の世代が亡くなっていっていることは大きな問題です。彼らの子孫はもう自分たちを日本人だと感じています。そのため我々は、家族やモスクの記録物を見つけようと努力しています。それらを一つの場所に集め、タタールスタンに持ち帰るか、あるいは日本にある古文書館か図書館に保管し、それらを研究できるようにしようと努めています。

「ミッリー・バイラク」の一部の号は日本からタタールスタンに送られました。満州で印刷されたいくつかの本は民族図書館の貴重書室に蔵書されており、それらは非常に数が少ないです。

記者:あなたは日本での旅程でタタール人墓地にも行くと言いました。その墓地は今誰が管理していますか?

マラットさん:はっきりと言うことはできませんが、ムスリム団体が管理していると思います。東京にある墓地は良く管理されています。そこには日本にイスラム教をもたらしたガブドゥレシット・イブラヒモフや他のタタール人の墓があります。

学校で学ぶタタール人の子供達
神戸にも墓地があります。かつて墓地があった場所は地震の可能性があるため、日本人はそれを他の新しい場所へ移転させ、墓も全て移されました。

記者:日本でイスラム教を広めたガブドゥレシット・イブラヒモフの研究はどのくらい進んでいますか?

マラットさんガブドゥレシット・イブラヒモフはタタールスタンでも日本でも研究されています。我々の大学では彼の旅行記や本を翻訳しようと考えています。ドイツでも研究されています。もちろん、ガブドゥレシット・イブラヒモフは偉大な人物で、そのため様々な面があります。そのような人物は様々な面から研究する必要があります。彼の研究では外国の文献も役に立ちます。ロシアのムスリムを、外国のムスリムを一つにしている非常に重要な人物です。日本でのイスラム教布教における彼の貢献は大変大きいです。

http://www.azatliq.org/content/article/27291430.html

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