嘘か真か、ロシアではタタール人は歌が上手いと言われる。
だが、そのタタール人の中でも歌が上手いと言われるのがバシコルトスタン出身のタタール人である。
その理由は定かではない。そもそも本当か嘘かも分からないが、まことしやかに囁かれる噂である。
この記事では、バシコルトスタンの首都ウファ出身のタタール人歌手・リシャット・テュフベトゥッリン(Ришат Төхвәтуллин) を紹介したい。
出身地のバシコルトスタンはもちろんのこと、タタールスタンでも人気のある歌手だ。
曲のレパートリーは伝統的なものからアップテンポ、バラードまでさまざま。そして、この甘いルックスときたら、特に女性に人気が出るのも頷ける。
リシャットは民族的にはタタール人だが、曲のレパートリーの中にはバシキール語も多く含まれる。
タタール語で歌う歌手がバシキール語でも歌うのは決して珍しいことではないが、彼の場合は他の歌手よりもバシキール語で歌っているように思う。
やはり、それは出身地がバシコルトスタンだからだろうか。
少なくとも、タタールスタンでもバシコルトスタンでもヒットを狙っているのは間違いない。
ずっと見つめていたくなるほどの甘いフェイスのリシャット・テュフベトゥッリン 至極どうでもいいかもしれないが、割と筆者好みのお顔立ち |
ここだけの話、筆者自身も彼の大ファンなので、独断と偏見でこの際取り上げることにしたわけだが・・・それにしても選曲には時間がかかった。
結局、以前私の個人的なFacebookで紹介して、それなりに好評だった曲にした。
この際、リシャットの特集は何度かにわたってすることにしようか。これは読者の皆さんの反応を見て判断することにしようと思う。
さて、今回紹介するのはСиннән башкаという曲。
直訳すると「君のほかに」となるが、より自然な訳は「君なしでは」- こんなところだろうか。
注目していただきたいのはリシャットの歌声、曲の雰囲気、歌詞・・・
すべてが注目に値するが、とりわけ「旋律」に耳を傾けてみてほしい。
Гармунと呼ばれるアコーディオンに似た楽器が寂寥感と哀愁が漂う旋律を奏でるが、これはタタール音楽の中でもмоңと呼ばれる伝統的なものである。
どこかで聞いたことのある懐かしさを覚えるような旋律は、日本の演歌に似ている。
ちなみに、下の歌よりもよりмоңらしいのはこの歌である。
より哀愁溢れる旋律には、何だか故郷に帰りたいと思う気持ちさえ思い出させる。
Кайткан саен туган якларыма
我が生まれ故郷へ帰るたび
Эзләп төшәм безнең тирәкне.
私たちの村のほうへと探しにおりていく
Чишмәләрнең салкын сулары да
泉のひんやりした水も
Баса алмый янган йөрәкне.
止められない熱くなった心を
我が生まれ故郷へ帰るたび
Эзләп төшәм безнең тирәкне.
私たちの村のほうへと探しにおりていく
Чишмәләрнең салкын сулары да
泉のひんやりした水も
Баса алмый янган йөрәкне.
止められない熱くなった心を
Синнән башка белмим нишләргә дә,
君なしではどうしたらいいかも分からないんだ
Кая куйыйм ялгыз җанымны?
どこに置いたらいいんだ、この孤独な心を
Авыр икән, дуслар, бу дөньяда,
君なしではどうしたらいいかも分からないんだ
Кая куйыйм ялгыз җанымны?
どこに置いたらいいんだ、この孤独な心を
Авыр икән, дуслар, бу дөньяда,
つらいだろう、友よ、この世で
Авыр икән, дуслар, бу дөньяда.
Авыр икән, дуслар, бу дөньяда.
それはつらいだろう、友よ、この世で
Югалтулар сөйгән ярыңны,
愛した恋人を失うのは
Югалтулар сөйгән ярыңны.
愛した恋人を失ってしまったのは
Тынып калган авыл урамнары
静まりかえった村の通り
Син булмагач сыкрап җан сыза.
君がいないと疼く心が痛む
Яшьлектәге кебек бәгърең кабат
若い頃のように愛おしい君が再び
Йөгереп чыгар кебек каршыма.
現れては走ってくるようだ、僕の前に
このように、曲自体は終わってしまった昔の恋を思い返しては苦しむ、何だか切ないラブソング仕立てとなっている。
(そこもまた演歌を彷彿とさせるって?)
知られざるタタール音楽の世界、次回ももしかするとリシャット・テュフベトゥッリンかもしれない。筆者の独断と偏見によって。
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